作業用電球(タングステン電球)の種類と使い分け

2006.5.26 ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

作業用の卓上照明
 弦楽器製作において欠かせないのが卓上照明です。それはただ単に明るくするだけでなく、様々な角度から「影」を作り、切削面の状態を確認したり、または隆起の形を確認したりするためのとても重要な「道具」なのです。

真っ暗な中で影を作ることによって、数10〜数ミクロン単位の凹凸まで確認することができます。

電球の種類と特徴
 卓上照明に使う電球はごく普通の60Wのタングステン電球を使います。そしてこの電球には「クリアタイプ」と「マットタイプ」があるのですが、私はクリアタイプを使うことが多いです。両者の違いは、下写真のようにフィラメントを囲むガラス部分が透明なのか、マット処理が施されているかの違いです。
 マットタイプの電球の場合、フィラメントから照射される光がマットガラスによって拡散され、影のぼやけた柔らかな感じの光となるのです。従って多くの照明器具においては、こちらのマットタイプの電球が好んで使われます。

 一方、クリアタイプの電球の場合、フィラメントから照射された光はガラスを素通しします。拡散されないので、光は点光源に近い状態になるのです。このために影がはっきりと出ます。通常ならば影がきつい照明は好まれないのですが、作業用に「意図的に影を出す」場合にはこちらのクリア電球の方が好都合です。

クリアタイプの方が影がはっきりと出ている。