デジタルカメラで証拠写真は可能か?

2004.5.21 ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

 最近のデジタルカメラの進歩は素晴らしく、その性能は35mmフィルムカメラと同等か部分的にはそれ以上にもなっています。事実私も最近ではほとんどの撮影をデジタル一眼レフカメラで行っています。
 修理の過程などもデジタル一眼レフカメラで撮影します。というのは、デジタルカメラはフィルムカメラと違って撮影の試行錯誤(構図、ライティング)をいくらでも繰り返す事ができるからです。撮影が旨くいっているのか、失敗しているのかをその場で確認できる事が最大の魅力です。また、銀塩(フィルム)カメラと異なり、デジカメは影の部分(暗部)の描写に優れているのです。これまでならばプロのカメラマンが高度なライティング操作で影を起こして撮影しなければならなかった事が、普通の撮影でもかなり描写できます。これがデジタルカメラのメリットです。
 数年前ならば銀塩カメラにとてもかなわなかった解像度も、機種によっては1,000万画素を超えて、証拠写真として十分なものとなりました。

デジタルカメラの欠点
 このような一見良い事ずくめのデジタルカメラですが、証拠写真としては欠点もあります。それは編集、レタッチ、合成が簡単にできてしまうという事です。事実、私も昨年、幼稚園での卒園アルバム撮影時に休んだ園児や教員を、後で合成しました。言われなければ誰も気が付かないような合成写真ができてしまうのです。ヴァイオリン関連の撮影においても、このような操作が悪用される可能性は大きいのです。このようなデジタルならでは便利さが、証拠写真としては致命的になってしまいます。
オリジナルデータ判別装置
 デジタルカメラが普及するに連れて深刻になってきた、デジタルカメラの「致命的な欠点」ですが、最近の一部の高級機では対策がなされています。例えばキャノンの最高機種のEOS-1Dsと1D MarkIIでは、撮影データにオリジナル信号を付加する機能が付いています。そして専用の装置(DVK-E2やDVK-E1)によって、撮影データに手を加えられたかどうかの判定ができるのです。
 このような機能によって、デジタルカメラのデータも証拠写真として立派に通用するようになりました。

キャノンのホームページより(DVK-E2の紹介)

写真はDVK-E1

戻る