マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

Q:チェロのケースを背負うことはできますか?

A:最近はヴァイオリンやヴィオラのケースを背負う人も多くなってきました。実際にそうして運んでみると、けっこう便利なものです。そこで、「もっと重いチェロケースまで背負えないか?」という自然な疑問が出ても当然でしょう。そして、実際にそのような製品は存在します。
 下記において、背負い可能なチェロケースの一例を紹介しますが、しかし注意していただきたいのは、ヴァイオリンやヴィオラの場合と違って、チェロケースを積極的に背負うことを私が推奨するわけではないということです。というのは、チェロのケースを背負った場合には、ケースの上部が頭よりも飛び出てしまうために、場合によっては部屋のドアや、電車のドアなどにぶつけてしまう可能性が高いからです。また、普通のリュックサック以上に背中が盛り上がりますから、「他人への迷惑」のことも考えなければなりません。
 但し、だからといってチェロケースを背負うことを否定しているわけではありませんので、興味のある方はご自身で「適切な使い方」のノウハウを蓄積していくべきでしょう。

リュックベルトの種類
 チェロのリュックベルトには、基本的には2方式が存在します。1つめは、チェロのケースにネジ止めで、「リュックサックアダプター」を加工してしまうという方法です。この方法のメリットは、大きなクッションが付いているために背負いやすいということですが、大きな欠点はそのような大きな装置を取り付けてしまうので、背負っていないときに邪魔になってしまうことです。また気軽に取り外すこともできません。またその価格も高価なものになってしまいます。従って、私はこの方法はお勧めしません。
 次の方法は、ケース自体がリュックベルトを取り付ける金具を備え付けているものです。その一例(GEWAのJAEGERケース)を下記に掲載しておきますが、この方法のメリットはオプションとしてベルトを購入するだけなので、安価であるということ、そして取り外しが自在ということです。欠点としては、背中とケースとの当たり具合が、前記の方法のリュックシステムよりは背負いにくいということでしょうか。私としては、こちらの方法が現実的であると考えます。

GEWAのJAEGERケースの場合(GEWAの普及品ケースにも使えます)

付属のストラップを取り外して、オプションのリュックベルトを取り付けた状態です。このリュックベルトは2本がリングで繋がっていて、ケースを背負いやすい仕組みになっています。


ケースの上部が頭より飛び出ますので、注意が必要です。

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