マイスターのQ&A

ドイツ・ヴァイオリン製作マイスター 佐々木朗

Q:ドミナント弦はモデルチェンジしたのですか?

A:この質問は最近多いのですが、おそらく「インエフェルド」弦の事だと思います。このインフェルド弦は、ドミナント弦と同じトマスティック社の新製品の弦です。見た目にもドミナントと同じデザインですから、この弦をドミナントの改良版と思っている方が多いのですが、全く違います。
 インフェルド弦はドミナントと目的の異なる、全く違う商品なのです。具体的には、ドミナントのような明るい乾いた音ではなく、もうすこし柔らかく艶のある音色を目指したものです。というのは、ドミナント弦は「明るく乾いた音」でナイロン弦として天下を取ったといってもよいほどです。しかし、それ以外のキャラクターの音色においては、ピラストロー社のトニカ弦などに市場を奪われています。従って、その音色の分野の市場獲得に動いたものと考えられるのです。

 さて、インフェルド弦の性能がどうなのか、これはまだ製品の使用頻度と、そのセッティング方法がこなれていませんから、今のところは何とも言えません。しかし、ひとつだけ言えることは、インフェルド弦はドミナント弦の代わりにはならないということです。まったく別なキャラクターの弦です。

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